酒の飲み比べで、女に負けるような男は…

2020年1月15日

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父に似てお酒に弱い私

私は残念なことに父親に似てしまいお酒が強い方ではありませんが、お酒は大好きです。

居酒屋で飲むよりも、
酒屋や酒蔵にいって、
自分のお気に入りの酒をたくさん買って、美味しい料理とともに頂いています。

酒豪女子と聞いて真っ先にイメージする人物は、実母です。

酒豪の家系で育ち、女だてらに、酒の飲み比べで数々の男性を泣かしてきた母。

母の家系には、様々な酒豪伝説がありますが、男よりも女性の方が、お酒が強く、そのまま家族の中のパワーバランスに影響しているような、そうでないような、そんな雰囲気のある親族です。

母の酒豪伝説

さて、母の酒豪伝説のなかでも、私が好きな話を一つします。

それは、私が生まれる数年前のこと、独身の母が大手のパン屋さんに就職していた頃のことでした。

一人暮らしの寮生活で、
母はのびのびと羽根を伸ばして生活していました。

元々、気ままで自由な性質の母というか、
母の家系の女性気質なのですが、

そんな母は、仕事が終わると、上司のおっちゃんたちと、同僚の女の子たちと一緒に夜な夜な深夜3時まで飲みに歩き回っていたそうです。

店での母の注文の仕方は、実に豪快で、

「酎ハイ以外、全部もってきて」

と、席につくなりいうのが、母の夜の始まりだったそうです。

気さくで、明るい母の性格もあり、飲食代は、上司のおっちゃんの奢りで、心おきなく酒を楽しめたと、母は語っています。

女の子で飲みに行く時は、他のお客さん、つまり、男の人から声をかけられるのですが、飲み比べをして勝ったら奢って、と条件をだし、母は余裕で勝ち、いつも、タダ酒を飲んでいたそうです。

母がブイブイと言わしているそんな時代、
呑み屋のスナックで母に一目惚れをしたのが、私の父です。

父のことなど眼中になかった母は、毎晩、父を泣かせて帰宅させていたそうです。

その頃、母は別の男性と付き合っていたし、
父はほんとうにタイプじゃなかったそうです。

何より、お調子者で頼りなかった父を見ると、鬱陶しく腹が立ち、欠点を容赦なく言い並べ、泣かして帰すというのが、父は母のパターンでした。

あまりにもしつこかった父(今ならただのストーカー、と母は語ります)、母は諦めさせるために父に言いました。

「今晩、私が飲む量についてきたら、結婚でもなんでもしたるわ。その代り、できひんかったら、二度と目の前にあらわれんといて」

そう言われた父は・・・

父の家系は、下戸。
もちろん、父も酒は強くありません。

父が勝てるわけもなかったのですが、父は頑張りました。

その夜、母は6軒の店をハシゴ、父も金魚のフンのようにくらいついてきたそうです。

ですが、1軒ごとに嘔吐やふらふらの足で、
母が注文する酒を飲んでいったそうです。

大量の水を飲む不正はあったものの、
父は6軒までついてきたそうです。

ですが、さすがに6軒目では一口も飲むことができず、母が存分にお酒を楽しんだ後も一歩も動けなかったそうです。

勝敗は見えていたものの、
これで、おさらばさと上機嫌の母の前で、
父は店員に「彼女が飲んだ分の酒をここにおいてください」と呂律の回らない舌で言ったそうです。

それを見た母は、あまりにも憐れになったのと、
酔いつぶれてもなお飲もうとする父に、

「友達でよかったら、昼ご飯くらい一緒に食べたるけど」

と言い、父の頼んだ酒をすべて飲んだそうです。

「酒飲みが、酒を吐くなどもってのほか。酒がもったいない」

との、家訓もあったのでしょう。

実際、私も祖父に、「酒を吐くということは、酒の神様に失礼や、苦しい思いをしてでも、踏みとどまれ」と言われたことがあります。

その後、どういった経緯で結婚にいたったかは、また別の話です。
これが、私が好きな母の酒豪話です。

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