きーばあ、酒は百薬の長というのは、ほどほどに飲むお酒だよ

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今回のお話は、きーばあと呼ばれるおばあちゃん酒豪のお話。
周りの心配をよそに飲みまくる豪快エピソードかと思いきや、最後には・・・

Contents

お酒大好き「きーばあ」

私の祖母は、みんなから『きーばあ』と呼ばれています。

いまどき珍しい、着物をビシッと着て、冬には毛糸の帽子をかぶっている、

私にとっては、曾祖母にあたる70代のおばあちゃんです。

たぶん、実際の年齢は80代後半もしくは、90代かもしれません。

きーばあが、「あたしは、70から年はとらんようになった」と言っているので、私たち孫はきーばあの本当の年を知りません。

たぶん、親に聞けば、本当の年齢がわかると思うのですが、
乙女なきーばあは年齢に触れると機嫌が悪くなるので、孫の中ではきーばあの年齢には触れません。

「酒は百薬の長。あたしは、酒のおかげで生きさせてもらってる」

というのが、きーばあが毎夜の晩酌で酔ってくるという言葉です。

きーばあに、休肝日はありません。

親族が旅行にいくと、きーばあへのお土産はその土地の地酒です。

きーばあにはお酒さえ与えておけばいいよ、というのが暗黙の了解なのです。

海外旅行に行くなら

「今度、旅行に行くなら、外国のお酒を買ってきてくれ」

と、きーばあが海外旅行にいく私に言いました。

私は、きーばあに言い返します。

「きーばあ、修学旅行でお酒は買えないと思うよ」

高校の修学旅行がニュージーランドだったのですが、制服をきていないとは言え、未成年がお酒を買えたとしても空港を通れるとは思えず、もちろん丁寧にお断りしました。

すると、私が成人して海外旅行に行くまで、きーばあは「お酒が買ってもらえなんだ」と、人の顔を見るたびに酔っていうようになりました。

きーばあの遺品

そんな愛すべきキャラのきーばあですが、肝臓がんになってしまいました。

高齢だし、痛み止めだけで、治療をすることはありませんでした。

癌になったことをきーばあに伝えると、

「ううん、あたしは、晩酒に酔って、寝て、朝冷たくなって、死ぬのが理想だったよ」

と、癌になっても相変わらずの調子で、心配する私たちをよそに以前以上にお酒を飲むようになりました。

そして、きーばあは享年92歳で天に召されたのです。

きーばあの遺品を整理していると、きーばあの祝い用のお酒の湯飲みがありました。

その湯飲みは口を下にして、棚にしまわれていたのですが、その中に鍵がはいっていたのです。

きーばあの部屋には大きな金庫があり、その鍵でした。

その鍵で金庫を開けると、そこには、色々なお酒がありました。

お酒の瓶の首には、紙の札で八つの数字がかかれていたのです。

その瓶の数は、きーばあの子供、孫、ひ孫の数とまったくおなじで、紙に書かれた数字はその子供たちが生まれた年と日付だったのです。

けして、高級なワインとかではないのですが、たぶん、子供が生まれた日に買ったお酒だと思います。

そして、

「みんなで、飲め」

とだけ書かれた一筆書きが出てきました。お酒好きのきーばあらしい、置き土産だとおもいます。

・・・うーん、きーばあ、粋!!
こーゆー年寄りになりたい!!

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