日本のお酒の神様。調べるとどんどん出てきます(笑)

2017年4月27日

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八百万の神様のうち、お酒の神様は・・・

世界各地で、お酒の発祥は神事とともにありました。

お酒造りは神聖なものとされ、できたお酒を飲めるのは王族・貴族に加えて神官だけだった、というのは世界各地でよく見られたんですね。

お酒の神様として有名なのは、ギリシャ神話のディオニュソス(ローマ神話ではバッカス)でしょうか。

日本でもやはりお酒はもともと神聖なものでした。

神にささげるものとして造られ、酒造りは神聖な、穢れのない処女である巫女の役割だった時代もあるわけですよ。
その辺の詳細は、こちらの記事で。

で、何しろ日本は八百万(やおよろず)の神の国。

なんにでも神様が宿るなんつってただでさえ神様がやたらにいるところに、そんな神聖な飲み物なんて造ろうとなった日には、神様が関係ないはずありません(笑)今回は、日本の神様の中でも、お酒に関わる代表的な神様についてまとめていこうと思います。

大山津見神(おおやまつみのかみ)、木花之開耶姫(このはなさくやひめ)

この二柱は親子です。大山津見神が父親で、木花之開耶姫が娘。
大山津見神は、「日本書紀」ではイザナミがカグツチ(火の神)を切った際に生まれたとされる神様です。

名前の意味は「大いなる山の神」で、山をつかさどる神様。
別名は和多志大神、この和多というのは海の古語で、つまり山と海を両方つかさどる神様、ということになります。

木花之開耶姫は、燃えさかる火中で三人の御子を産んだ、というスーパーお母さん。

どういうことかというと、まず夫である邇邇芸命(ににぎのみこと)から、お腹の子が自分の子ではないのではないかと疑われます。

その疑いを晴らすため出入口のない産屋を作り、室内を壁土で塗りこめ、その産屋に火をつけます。

お腹の子が邇邇芸命の子どもなら、幸があるはずだからどんな状況でも産めるハズ、というわけ。
すげぇ発想だな・・・

で、実際に火の中で三人の御子を産んだんですね。
このエピソードから、安産の神、子を守り育てる子安の神、として信仰されています。

御子の誕生を喜んだ大山津見神と木花之開耶姫が天甜酒(あめのたむざけ)を造り、お祝いをしたと言われています。

この天甜酒、「天」は天上界とか神を表し、「甜酒」は美味しい酒、を表します。

つまり天甜酒とは「天の美酒」という意味。米を噛んで造った「口噛み酒」とも、米麹を使って造った濁酒ともいわれているようです。
口噛み酒の方は通説のようですが、どっちだったんでしょうねぇ。

この天甜酒が、日本初のお酒と言われています。

そこから、大山津見神が酒解神(さけとけのかみ)、木花之開耶姫が酒解子神(さけとけごのかみ)との別名を持つようになり、二柱とも酒の守護神として京都の梅宮大社に祀られるようになりました。

大物主神(おおものぬしのかみ)、少彦名神(すくなひこなのかみ)

大物主神は、第十代崇神天皇時代の日本を救った神様。

この時代、国は疫病の流行で混乱を極めていました。どうすればいいのか、と悩み苦しんでいる崇神天皇の夢に、大物主神からのお告げがあります。

それは、「私の子孫である大田田根子(おおたたねこ)を祭主として酒を造り、その酒を奉納しなさい」というもの。

天皇はそのお告げを受け、四方に早馬を走らせます。河内の美努村というところで大田田根子を見つけ祭主にし、高橋活日命(たかはしいくひのみこと)という酒造りの名人を呼び寄せ、神酒造りに取り掛かります。

高橋活日命は一夜で神酒造りを行い、天皇はこれを奉納します。
すると疫病が去り、国が富み始めた、というんですね。この逸話から、大物主神はお酒の神様として祀られることになりました。

ちなみにこの時お酒を造った高橋活日命ですが、大物主神が祀られている大神神社(おおみわじんじゃ)の摂社である活日神社(いくひじんじゃ)に祀られています。

一番早く杜氏として記録されている人物であり、
今でも杜氏さん達が蔵入り前と蔵入り後にお参りをするのが通例になっているんだとか。

全ての杜氏の祖として、今でも尊敬されているんですねぇ。

少彦名神は、大物主神の別名である大国主命とともに、国造りを行った神様(大物主神と大国主命は別の神様だという説があったり、同一の神様だという説があったり、イマイチはっきりしないようです。まぁ、神代の時代の話ですからねぇ)。
非常に小さい神様で、一寸法師をはじめとした数々の「小さ子伝説」のモデルにもなっているんです。

こちらの少彦名神、病気治療の方法を広めた神様とされています。

その数ある治療法の一つが酒造。
酒の持つ消毒力や、身体を興奮させて生命力を高める作用が薬効として重視されていたんですね。

こんなワケでお酒の神様として祀られる少彦名神ですが、大国主命と国造りをした関係で一緒に祀られることが多い神様。

この二柱の仲の良さは良く分かんないレベルにまで達しております。有名なのは我慢比べの話。

ある時、この二柱の間で土を背負うのと大便を我慢するのとどっちがしんどいか?という話になりました。

少彦名神が土を背負おうというと、大国主命がじゃぁ私は大便を我慢しようという。

数日は我慢できたものの、ついに我慢できず大国主命は大便をしてしまいます。
これを見た少彦名神、「私も苦しかったのだ」と言って背負っていた土を投げ出しました。

・・・という。なんなんだ、この話(笑)
ところがこの話、ただの訳の分からん話ではない。
少彦名神が農業神であることから、土壌と肥料の関係を象徴する話、とも言われているんですね。

・・・うーん、だとしても、なんだかなぁ(笑)

大山昨神(おおやのくいのかみ)、市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)

大山昨神の名前の「くい」は「杭」のことであり、大山に杭を打つ、つまり山の所有者の神である、という意味になります。
その他にも農耕神としての顔もあるとか。

平安京以前の京都盆地で栄えていた秦氏という豪族により、この神様が祀られている松尾大社という神社が創祀されました。

この秦氏という豪族が酒造を得意としていたため、大山昨神もお酒の神様として信仰されるようになったんですね。
ちなみに「松尾大社」は「まつおたいしゃ」ではなく、「まつのおたいしゃ」と読みます。

市杵島姫神は海上守護の神様で、外来民族である秦氏が朝鮮半島との交易をする関係から、航海の安全を祈って松尾大社に祀られていると考えられています。

この市杵島姫神、美人の神様としても有名。美人で、水をつかさどる神様という共通点から、弁財天とも同一視される神様です。弁財天ってインドの神様だけど、いいのかな、同一視とかして・・・

松尾大社は京都で最古の神社と言われており、現在でも酒造の神様として信仰されています。

全国の酒造家から奉納された酒樽が所狭しと積まれた「神輿庫」というものがあったり、「亀の井」と呼ばれる霊泉があったりします。
この亀の井、松尾山から流れ込んだ渓流が湧く井戸なのですが、この水を酒造家たちは造り水に混ぜて使うんだそう。

混ぜるとお酒が腐らなくなるとか、延命長寿、よみがえりの水とも言われている神泉です。

現代ではそんな習慣はありませんが、酒蔵は長らく女人禁制の職場でした。

理由としては酒造りは100日前後こもりっきりで作業しなきゃいけないのに、そこに女が入ったら男どもの気が散ってしょうがないとか、女の化粧品のニオイが酒に移るとか、なんだかいろいろ言われているようですが、

数ある理由の一つが「お酒の神様は女神なので、酒蔵に女が入ると嫉妬して酒の品質を落とす」というもの。

松尾大社に祀られている女神というと市杵島姫神なので、市杵島姫神は嫉妬深いということなんですかねぇ。

弁財天が嫉妬深いとされる神様のようなので、そのあたりいろいろ混ざってるのかもしれません。

まぁ、現代では女性の杜氏もたくさんいますので、市杵島姫神も少し懐が深くなったということなんでしょうか(笑)

まとめ

・大山津見神、木花之開耶姫は、娘の出産祝いにお酒を造ったとされる神様
・大物主神、少彦名神は、お酒と引き換えに国を富ませてくれたり、医療として酒造を行っていた神様
・大山昨神、市杵島姫神は、酒造りが得意な秦氏が信仰し、松尾大社に祀った神様
・市杵島姫神は嫉妬深い!?

ひとまず代表的な神様についてまとめてみました。
ちょっと検索するとまだまだ出てきますので、調べてみると面白いかもです!!

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