日本酒は恩師へのプレゼントに最適

2020年1月15日

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三年間お世話になった教授

今回のエピソードは、3年間お世話になった大学の教授にお酒をプレゼントする話。
親身になってくれる教授なんですが、住んでる場所の関係であんまり放課後の交流もない、高名な教授なので立場的にも学生からしたら大分上。
そんな教授が、学生からお酒をもらって・・・!?

大学在学中、三年間お世話になった教授とは、あまり放課後の交流がありませんでした。

ほかのゼミの学生は毎週のように教授と飲みに行っていましたが、

東京から来てくださっていた私たちの教授は、すぐに新幹線に乗って帰ってしまいました。

教授はかなりのご高齢で、私たちの卒業とともに大学を去るという話でした。

私たちは教授になにか、感謝を伝えたいと思いました。

なにか、プレゼントしたいと思い、みんなで考えました。

それで思い至ったのが、お酒をプレゼントすることでした。

飲みに行ったことはなくとも、教授がかなりのお酒好き、

それも日本酒が好きであることは、話から知っていたのです。

本当は飲みに行ったりもしたかったんですかねぇ

それで、ゼミ生のなかでもお酒好きな男の子が率先して銘柄を決め、

そこに、教授を象徴するようなラベルを特別に注文しました。

いわゆる名入れというものです。

プレゼントをする最後のゼミの日

最後のゼミの日、
教授は私たちひとりひとりを自分の研究室へ順番に呼び、面談という名の激励をしてくださいました。

中には泣いて帰ってくる学生もいました。

うはぁ、なんていい教授・・・!!

その後、教授がゼミ室へ来たとき、私たちは大きな花束と日本酒を用意して、教授にプレゼントしました。

そのとき私たちは、これまで三年間もお世話になっていながら、

教授になにかをプレゼントするということがなかった、ということに気づきました。

教授はとても高名な方だったので、花束もお酒も、もらうことには慣れていたと思います。

もっといい花やお酒も、たくさん知っていたと思います。

でも、自分にとって最後の教え子である、私たちからのプレゼントを心から喜んでくれました。

教授の口からは、漏れるように「ありがとう」ということばが聞こえてきて、

それで私たちは、もう教授から当たり前のように、いろんなことを教わる機会がなくなるのだと、実感しました。

それから私たちはみんなで記念撮影をして、そのときにはもう誰も泣いていませんでした。

でも教授は、いつもなら脱ぐ帽子を、いつもより目深にかぶったままでした。

・・・。・・・・・・。

ビンとして形に残る日本酒

私たちと教授との間には、半世紀ほどの年齢差がありましたが、私たちがぐっと背伸びをし、

教授が寄り添うように、その一本の日本酒を介して、大人としての贈り物ができたように思います。

自分で買っては飲まないお酒も、人からもらうと嬉しいもの。

それも、心のこもった贈り物ともなれば、その喜びはひとしおです。

私たちはそれぞれ、卒業制作や就職活動に忙しくまとまった時間が取れず、

たとえば手作りのものを贈る、といったことができなかったのですが、

それでも教授の満面の笑顔を見たときに、ビンとして形に残る日本酒は、プレゼントとして最適だったのではないかと喜ばしく思いました。

教授、うれしかったでしょうねぇ!!
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