ウイスキー、ブランデーについての基礎知識-3
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ウイスキーとブランデーの造り方について書いてきましたが、最後に重要なのは熟成の工程。
蒸留したウイスキーやブランデーを、樽に詰めて熟成させます。
蒸留した直後のウイスキーやブランデーは無色透明ですが、樽の中で熟成されることであの深い色が出てくるんですね。
樽は木製ですから、液体は通さなくても気体は通してしまいます。
大体1年熟成させるごとに1~3%の水やアルコール分が蒸発して減っていくんだとか。
この熟成中に減ってしまう分を「Angel’s share」、つまり「天使の分け前」あるいは「天使の取り分」という呼び方をしているそうです。
・・・オシャレ~!
とは思うものの、ただ単に長いこと言ってて定着してるからオシャレに聞こえるだけなんじゃないかとも思うんですよね。
Angel’s shareって相当気取った言い方だと思うんだけど、初めてこの言葉ができた瞬間ってどんな状況だったんだろ。
ウイスキー工場の偉い人「また熟成中にウイスキーが減っている!いったいどういうことなんだ!!」
ウイスキー職人「いや、あっしらにもよく・・・」
偉い人「えぇい、黙れ黙れ!お前らが盗み飲みしてるんじゃないのか!?」
職人「えぇ!?そんな、濡れ衣でさぁ!」
偉い人2「まぁまぁ、落ち着いて。こうして量は減るけれど、そのあとウイスキーはおいしくなるんだろう?」
職人「あ、そうでさ!理由はわからねーんですが、量が減っている方が味が濃厚に・・・」
偉い人「またそんな、言い訳を!」
偉い人2「それで、君たちは盗み飲みなんてしていないんだね?」
職人「そう、その通りでさぁ!」
偉い人2「だったらもう、その減ってしまった分はいいじゃないか」
偉い人「なんだと、私のウイスキーだぞ!」
職人「旦那・・・」
偉い人2「熟成中に、天使が分け前を持って行ってしまったのさ。そしてその分、ウイスキーをおいしくしてくれているんだよ」
偉い人・職人「・・・・・・・・・??」
偉い人2「そうだ、熟成中に減った分のウイスキーを、Angel’s shareと名付けようじゃないか(ドヤ顔)!!」
偉い人・職人「・・・・・・・・・・・・・・・はぁ・・・・・・」
・・・みたいなことがあったのではないかと(笑)そこから定着させるまで、いろんな人に言いまくったんだろうなぁ。
自分とこの職人に、「この熟成中に減ったウイスキーはAngel’s shareと呼ぶからな!」と強制してみたり。
何も知らない人に、「いや~、今年のウチのAngel’s shareは結構な量になりましたよ」なんてあえて急に言ってみる、とか。
それが今ちゃんと言葉として定着してるんだから、継続は力なり、ですなぁ(笑)
まぁ、実際どうやってAngel’s shareという言葉がうまれて、どういう風に定着していったのかは知りませんけどね(笑)
今現在は定着してるからなんかオシャレな言葉みたくなってるけど、言葉だけ切り取ったらまぁまぁ中二病が混ざってるよな、っていう言葉の誕生した瞬間って興味あるなぁと思う、管理人です。
そんな管理人の妄想はともかく!
いや、管理人が勝手に言ったんですけども!
今回は、ウイスキー・ブランデーを造る工程の一つで、ウイスキー・ブランデー共通の工程であるところの、熟成について書いていこうと思います。
熟成工程
ウイスキーやブランデーは、蒸留直後は無色透明です。
あの琥珀色のお酒になるのは、歳月をかけて熟成させた結果なのです。
ウイスキーやブランデーの特徴の多くは、この熟成工程に由来します。
蒸留後にオーク材の樽に入れて熟成。
この際に樽を置いておく貯蔵庫の温度・湿度は良質な熟成を進めるための重要なポイントとなります。
熟成にかかわる要素としては、
・樽の材質や容積
・貯蔵される際の貯蔵庫内での場所
・積み上げる段数
・温度や湿度
・樽から溶け出す木材成分
・樽材を通して接する空気
等々、等々の条件が複雑に、微妙に絡み合ってウイスキーらしい、ブランデーらしい豊かな味わいと深い香りが生まれていきます。
熟成のメカニズム
樽の中ではこのように複雑な条件下で熟成が進んでいくわけです。
以下に反応の進行する順番を書きますが、実はいまだ解明されていない部分も多く、神秘的な部分が多く残っています。
ま、とりあえず解明されている部分はこんなもんなんだな、と思っておいてください。何しろAngel’s shareの世界ですから(笑)
1・樽から木材成分の溶出
貯蔵中に樽材からタンニンや芳香性化合物が抽出されます。
2.樽からの揮散・消失
樽からは貯蔵中に毎年1~3%程度ウイスキー、あるいはブランデーが揮散していきます。
これが冒頭で書いたAngel’s shareなわけですが、実はこの揮散が無いと品質が良くなりません。
この辺なんでなのかよく分かってないようなのですが、とにかく天使に分け前をあげないとウイスキー・ブランデーはおいしくならないんですね。
・・・うん。天使に。
3.樽を通して酸素との接触
樽材を通して行われる空気中の酸素との接触により、ゆっくりゆっくり酸化が進みます。
これによって、香りの変化が生じるんですね。
4.香気成分の生成
新酒の時点で含まれている各種アルコールや脂肪酸等の成分が化学反応を起こし、脂肪酸エステル等の甘く華やかな香気成分に変化していきます。
このような段階を踏んで熟成は進んでいきます。さらに重要なのは、この熟成を進めるためにお酒を入れておく樽材。続きまして、樽材についても書いていきますよ~
樽材について
樽はオーク材で作られます。ここでいう「オーク」とは、高級家具材としても使われるブナ科の落葉広葉樹のこと。
樽を作るため、樹齢100年以上のオークの木を伐採し、1年ほど乾燥させます。
乾燥後、節のない部分を選んでまっすぐの木目にそって切断し、さらに1~2年ほど風雨にさらし、木の内部の樹脂分を除き、タンニンを酸化させてから樽材に使用されます。
ウイスキー樽でよく使用される木材は「アメリカ産ホワイトオーク」、
ブランデー樽でよく使われるのは「フランス産コモンオーク(その色によりブラウンオークと呼ばれる場合アリ)」です。
一度作られた樽は4~50年程度使用可能、修理すれば90~100年も使用可能ですが、新樽を使う場合は内面を火で焦がすのが一般的。
・・・いや、ボワンボワン焼くんですよ。で、焦がすの、木材を。
この木材の焦がし方が強いと熟成後の樽香も色も強く、弱いと樽香も色も淡くなります。
このように、焦がし方によって熟成にも影響を与えるんですね。
樽のサイズも熟成に影響を与えます。よく使われる樽の種類としては、
「バーレル(容量180L)」
「ホッグスヘッド(容量230L)」
「パンチョン(容量480L)」
「シェリーバット(容量480L、ただしパンチョンよりも細長い)」
樽が大きくなればなるほど、中のお酒と樽材が触れる容量当たりの面積が小さくなるため、熟成がゆっくり進む傾向にあります。
なお、役目を終えた樽材は廃棄する・・・のではなく、現在では曲がった樽材をまっすぐにする技術が開発されたため、家具や木材として再生・使用されるようになっています。
この辺もまた、ヨーロッパの人たちのウイスキーやブランデーに対する深い愛情を感じますなぁ!
まとめ
・熟成工程が、ウイスキー・ブランデーの複雑な味わいや香気を生み出します
・ただ、熟成のメカニズムはまだ科学的に解明されていないことも多い
・樽の材料、焼き方、サイズも熟成に影響を与えます
・しかし、Angel’s shareはちょっと中二病成分が強いのではないか・・・
熟成は非常に重要な工程なわけですが、Angel’s shareに引っかかってしょうがない管理人です(笑)
えぇ、酔っ払うとしつこい、同じことを言う、とよく怒られますとも!
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