そもそもお酒とは何か?いまさら人に聞けないお酒の話

2017年4月27日

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今さら人に聞けないお酒のこと

飲む人や、時代によって、悪者にされたり、薬になったりする、お酒。

お酒が悪いんじゃない、だらしなく酔っぱらうやつが悪いんだ、なんて名言もありますが(笑)向き合う人によって、お酒に対する印象や感想は様々です。

小さい頃、親が酒飲んで暴れてた、なんて人はお酒に対する印象は悪いでしょうし、楽しい飲み会に参加して、友達がたくさんできた、なんて人はお酒はいいものと思っているハズ。

ちなみに管理人のお酒に対する印象は後者ですが、周りの人の酔っ払った管理人に対する印象は、怖くて聞けません(笑)

人によって印象は様々でしょうが、今回はそもそもお酒とはどーゆーものか?ということについて書いていこうと思います。

日本酒は醸造酒で、ウイスキーは蒸留酒、とかって話は聞いたことあると思いますが、じゃぁ醸造酒と蒸留酒の違いって何?

そもそも何がどうなったらお酒と呼べるの?

なんて、基礎の基礎ですね。
案外、ちゃんと分かってないけど人には聞けない部分なんじゃないでしょうか?

お酒とは何か?

お酒とは、一番身もフタもない言い方をすれば、アルコール(エチルアルコール)が入った飲み物のこと。

お酒の入れ物に、アルコール度数何%、なんて表記がありますよね。

日本の酒税法では、このアルコール度数が1%以上のものがお酒とよばれます。

ちなみに、最近よく見かけるノンアルコールビールだの、ノンアルコールワインだの、ノンアルコール梅酒だのは、飲料に含まれるアルコールの量が1%未満のもの。

ごくわずかですがアルコールを含んでいますので、お酒の匂いを嗅いだらもう酔っ払っちゃう、なんて人はノンアルコール飲料でも酔うことがありますのでご注意を。

もう少しお酒を分類しますと、大きく分けて「醸造酒」と「蒸留酒」の2つに分けられます。

これは製造方法による分類で、一般的に販売されているお酒を分けますと、

清酒、ワイン、ビール等→醸造酒
焼酎、ウイスキー、ブランデー、スピリッツ等→蒸留酒

と、なります。また、日本の酒税法による分類ですと、ビールや発泡酒は発泡性酒類というものに分類されます。

醸造酒とはなんなのか

花や果実の表面には酵母という微生物が住んでいて、果実中の糖分を炭酸ガスとアルコールに分解してエネルギーを得ています。

例えばブドウの果実を放置しておくと自然に泡が発生し、数日後アルコールが蓄積することがありますが、この現象のことを「アルコール発酵」といいます

。醸造酒とは、米やブドウ、麦などをアルコール発酵、すなわち醸して造るお酒のことを指すんですね。

その歴史は古く、紀元前3,000年頃に栄えたメソポタミア文明やエジプト文明の遺物には、すでにワインやビールの記録が残されていると言うんだから驚きです。

アルコール発酵が酵母による生命現象であることが判明するのは、19世紀半ばのパスツールによる証明を待たなければなりません。

これってつまり、酵母のような微生物を確認できないどころか、微生物という概念すら無かった時代から酵母を利用して酒造りをしてきた、ということ。

酒飲みの執念、恐るべし(笑)

ブドウなど、糖分を含む原料であればそのままでもアルコール発酵は起きるのですが、酵母は米などに含まれるデンプンを利用することはできません。

そのため、麦を使うビールの製造では麦芽を、米を使う日本酒の製造には麹を利用して、穀類のデンプンを糖まで分解します。

こうして造られたブドウ糖などの糖分を醸すわけですが、酵母はその際に、アルコールだけでなく様々な成分を製産。

例えば香気成分や味の成分を製産し、それはそのまま日本酒、ビール、ワイン等の醸造酒の中に残ります。

つまり酵母が産み出す成分は、お酒の品質に直接影響するというわけ。

最近、フルーティーな香りの日本酒をよく見ますが、米と水でできた日本酒がなぜフルーティーな香りがするんだろう、と思ったことはありませんか?

その香りを造るのも、実は酵母の働き。

日本酒に使われる酵母だけでも何種類もありまして、お酒を造る職人さんたちは、造りたい酒に合わせて酵母も使い分けています。

蒸留酒とはなんなのか

醸造酒は酵母による発酵で造られるものですが、発酵させたあとに「蒸留」という行程を経て造られるのが蒸留酒です。

蒸留とは、混合物を蒸発させ、その後で再び凝縮させることで、沸点の違う二つの物質を分離、濃縮させること。

お酒の場合で言えば、水とアルコールではアルコールの方が沸点が低いため、蒸留機でお酒を加熱するとアルコールの方が盛んに気化します。

この気化したアルコールを集めることで、アルコール度数の高いお酒を造ることが可能なんです。

発酵のみの醸造酒ではアルコール度数20度くらいが限界なんですが、蒸留酒であれば40度とか50度とか、何度も何度も蒸留の回数を重ねれば96度なんてどうかしてる度数のお酒も造れる、というわけ(笑)

ちなみに、共沸という現象があり、蒸留を何度重ねてもお酒のアルコール度数は96度が限界です。蒸留を重ねるほどエタノールが強くなり、元の素材の風味は失われていきますから、味的にはもうほとんどエタノールですね。

この96度のお酒を飲むときは、タバコを含めて周囲には火気厳禁だそう。聞けば聞くほど、どうかしている(笑)

蒸留という工程を経ることで、同じ原料を使用していても全く違うお酒になります。

例えばビールは醸造酒、モルトウイスキーは蒸留酒。味や香りも全く違うお酒ですが、どちらも麦を原料としています。

他にも、ワインは醸造酒、ブランデーは蒸留酒。こちらはどちらもブドウを原料としています。

乱暴な言い方ですが、ビールを蒸留したものがモルトウイスキー、ワインを蒸留したものがブランデー、とも言えます。

つまり、醸造酒があったからこそ、蒸留酒が造られた、ということなんですね。

蒸留酒の歴史は、醸造酒に比べるとずいぶん最近です。

蒸留酒造りに欠かせない「蒸留機」の記録のもっとも古いものは、紀元前384~322年に生きた、古代ギリシアの哲学者、アリストテレスが残したもの。

醸造酒の歴史が紀元前3,000年くらいからですから、ざっと2,600~2,700年くらいは新しい・・・とはいっても、蒸留酒も紀元前からあるわけですが。酒飲み、すげぇ(笑)

アリストテレスが説いたのは、お酒は水と土の2つの要素からできている。

それを蒸留することで、水の要素が分離、あとに土の要素のエキス分が濃縮されて残るというもの。

この説に従って、アリストテレスがワインを蒸留してブランデーを造った、というのが蒸留酒のもっとも古い記録になります。

古代ギリシアで生まれた蒸留技術が、アレキサンダー大王の征服戦争によって世界に広がっていきました。征服戦争の過程で、東はインダス川、西は大西洋まで。

また、それ以外にも大航海時代にも蒸留技術と各土地で収穫される原料と結びつき、様々な蒸留酒が生まれていきました。

名前と原料を並べただけでも、

アクアビット(ジャガイモ)
アルヒ(家畜乳、穀物)
泡盛(インディカ米)
カシャッサ(サトウキビ)
キルシュヴァッサー(サクランボ)
コルン(小麦、ライ麦)
ソジュ(米、ジャガイモ、小麦、大麦、サツマイモ、タピオカ)
アルマニャック(白ブドウ)
カルヴァドス(リンゴ)
コニャック(ブドウ)
シンガニ(ブドウ)
ピスコ(ブドウ)
メスカル(竜舌蘭)
ラム酒(サトウキビ、糖蜜)
ワラギ(バナナ、キャッサバ)

等々、等々。様々な蒸留酒があります。

ちなみにベトナム、ミャンマー、ラオスあたりには日本の焼酎とよく似たお酒がありますが、これらの国の蒸留酒の起源は中国雲南省一帯と言われています。

まとめ

・お酒とは、アルコール度数が1%以上のもの
・ノンアルコール飲料でも、1%未満のアルコールが含まれるので、お酒が飲めない体質の人は注意!
・醸造酒とは、酵母による発酵で作られたお酒
・蒸留酒とは、醸造酒に水とアルコールを分離させる蒸留という工程を加えたお酒

紀元前から酒飲みは酒飲みで、酒飲みの飽くなき探求により蒸留という技術ができたんだと思うと、感慨深いですねぇ。

紀元前の人と、酒を酌み交わしたい気持ちになりますな(笑)

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