ウイスキー、ブランデーについての基礎知識-1
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生命の水、って(笑)
ウイスキーとブランデーの違いをご存じですか?
ウイスキーは発芽させた穀類、水を原料として糖化、発酵、蒸留したもの。
ブランデーは果実、水を発酵、蒸留したもの。つまり、原料が違うんですね。
ものすごく乱暴に言うと、ビールを蒸留したのがウイスキーで、ワインを蒸留したのがブランデー、ってかんじですかね。
そんな2つのお酒ですが、実は共通する部分もあります。
何かと言いますと、それはどちらも生命の水と呼ばれていた、ということ。
ウイスキーは、スコットランドの文書の
Aqua Viyae(アクアビテ)
という言葉を、ゲール語という言語で表記した
Uisge Beatha(ウスクベハ)
という言葉が変化し、ウイスキーとなったと言われます。
この大本のアクアビテが生命の水、という意味になります。
ブランデーは、「焼いたワイン」という意味のフランス語、
Vin Brule(ヴァンブリュレ)
これをオランダ語に直訳した
Brandewijn(ブランデウェイン)
これがさらにイギリスで省略、ブランデーという英語になったと言われています。
これの何が生命の水なのかと言いますと、さかのぼることブランデーが初めて文献に登場した13世紀。
当時の錬金術師がワインを蒸留したものを「不死の霊薬」として売り出し、ペストの流行とも相まって「生命の水」として珍重されていたんだとか。
ちなみにフランス語では、いまだにブランデーを
Eau de Vie(オー・ド・ヴィー→生命の水)
と呼びます。
原料から違うお酒ですが、同じ呼び方をされています。
ペストに苦しむ人々は別として、生命の水なんて名前を付けちゃうあたり、どーにか言い訳して飲みたがる酒飲みの本性が見えるようですなぁ。
これは飲んでもいいんだ、生命の水だから!なんつって。
いまだにブランデーを生命の水と呼ぶフランス人、さすがです(笑)
今回から何回かに分けて、これら生命の水、ウイスキーとブランデーについての基礎知識について、書いて行こうかと思います。
モルトウイスキーの造り方
ウイスキーには各国でいろいろな造り方がありますが、ここでは日本のウイスキーの造り方を紹介していきます。
ウイスキーに使われる麦は二条大麦。
これは麦茶なんかに使われる六条大麦よりもでんぷん含有量が多いものになります。
最初は、この二条大麦から麦芽を作る「製麦」という工程から始まります。
まず二条大麦を水に浸し、適度な温度・湿度条件の下に置くと胚芽の部分から発根及び発芽が始まります。発芽が進むことにより、二条大麦の内部に胚乳の養分を分解する様々な酵素が成長してきます。
この酵素の生成が十分な量に達した時、発芽工程が終了。
次にこれを「ケルン」と呼ばれる発芽乾燥塔に送ります。
そこで燃料を燃やし、熱で麦芽を乾燥させ、目の成長を止めます。
その際、燃料と一緒に「ピート」、つまり泥炭を一緒に燃やします。
それにより、ウイスキーに「ピート香」と呼ばれる特徴的なスモーキー・フレーバーがつくんですね。
そこからさらに脱根機にかけ、乾燥した麦芽から不必要な根を取り除き、麦芽が完成します。
完成した麦芽はミルにかけられ粉砕、「マッシュタン」と呼ばれる糖化槽に入れられます。
そこに60℃の仕込み水を入れ攪拌。次にこれをろ過して糖化液を得ます。これは「ウォート(=麦汁)」と呼ばれます。
このウォートを「ウォッシュバック」と呼ばれる発酵タンクに移し、大量の酵母を添加します。
この酵母がウイスキーの香味を形づくるのに重要なポイントで、複数種類の酵母を組み合わせて使われます。
ウイスキーでは発酵温度が30℃と他の種類より高いため、比較的短い2~3日という期間で発酵は終了、酵母が死滅していきます。
おいしいモルトウイスキーのためには、この酵母が死滅している段階で生き残っている乳酸菌が働くことで複雑な香味を与えることが一つ。
もう一つは、糖化工程で使用される仕込み水。
この仕込み水は「マザーウォーター」と呼ばれ、意味異臭がなく、適度なミネラル分を含む水が理想とされます。
清涼なマザーウォーターがおいしいウイスキーの必須条件です。しかしマザーウォーターとはまた大げさだな(笑)
こうしてモルトウイスキーの「醪(もろみ)」が造られます。
造られた醪は続いて蒸留機へと送られ、ここで「ポットスティル」という釜を使って2回蒸留されます。
1回目の蒸留はポットスティルの内「ウオッシュスティル」と呼ばれる初留釜で行われます。
醪に含まれるアルコール分を全て取り出す工程。この時の加熱なんかの反応によって、ウイスキーの新たな香気成分の生成や、不快な香気成分の補足が行われるんですね。
2回目の蒸留は「スピッツスティル」と呼ばれる再留釜で行われます。
これは蒸留の際に取り出される成分を「ヘッド(前留)」、「ハート(中留)」、「テイル(後留)」の3つに分け、一番品質の優れたハートを取り出す工程。
ハートからテイルへ切り替えるタイミングが蒸留職人の腕の見せ所の一つ。
ちなみにヘッドとテイルは次回の再留時にスピッツスティルに戻され、繰り返し蒸留されます。
蒸留したての「ニューポット(新酒)」は、まだ無色透明。
このニューポットを樽に詰め、長いこと貯蔵・熟成すると琥珀色のウイスキーが出来上がる、というわけ。
グレン・ウイスキーの造り方
グレン・ウイスキーは原料にトウモロコシ等の穀類に麦芽を10%くらい加えて製造します。
トウモロコシをミルで粉砕、仕込み水を加えて煮沸し、60℃程度まで冷ましてから粉砕麦芽を加えます。
こうすることで、トウモロコシの持つデンプンを麦芽の持つ酵素により糖化させる、というわけ。
糖化液は発酵工程に送られますが、発酵工程はモルトウイスキーと共通になります。
共通とか言っちゃうと、ずいぶん記事の文字数が減ってしまうなぁ(笑)
こうして造られた「醪(もろみ)」はモルトウイスキーと同じく蒸留機に送られます。
が、グレン・ウイスキーの場合使用されるのは連続式蒸留機。
これから出てくる留液を冷却・回収するとアルコール分90%の「新酒」・・・モルトウイスキーの場合は新酒=ニューポットでしたが・・・「ニューメイク」が出来上がります。
いや、ややこしいなと思ってるのは、管理人も同じですとも(笑)
この連続式蒸留機を通してできたニューメイクを樽に詰め、熟成させるというわけです。
こうしてできたグレン・ウイスキーはモルトウイスキーがラウド(声高な)スピリッツと呼ばれるのに対してサイレント(静かな)スピリッツと呼ばれます。
ウイスキーは様々な樽に入っている原酒を調合して作られるのが一般的。
特徴的なモルトウイスキーを穏やかなグレン・ウイスキーで包み、新たな味と香りのハーモニーを生み出すのが、ウイスキーの醍醐味なのですよ!!
ウイスキーのブレンド
一般的にウイスキーは、多くの樽に入っている原酒を調合して商品としています。
「シングルモルト」とか、「シングルモルトウイスキー」というお酒の名前を聞いたことがある方もいると思いますが、それですらいくつかの樽のウイスキーをブレンドして造られたもの。
シングルモルトウイスキーとは、「単一の蒸留所」の「モルトウイスキーをブレンドしたもの」であり、この辺なんとなく日本人の感覚からかけ離れたものがあるな・・・
スコットランドにはたくさんの蒸留所があり、それぞれが個性的なモルトウイスキーを造っています。
が、入っている樽により味が変わってくるということで。
ま、熟成具合により全然違うお酒になる、というものなんですけどね。
ちなみにブレンデッドウイスキーとは、複数の蒸留所のモルトウイスキーを混ぜたもの・・・
ではなく、複数の蒸留所のウイスキーを混ぜたものは、「バッテッドモルトウイスキー」と言います。
グレン・ウイスキーについても同じく、「シングルグレン・ウイスキー」と、「バッテッドグレン・ウイスキー」があり、ブレンデッドウイスキーとは複数種類のモルトウイスキーと、複数種類のグレン・ウイスキーを混ぜたもの。
この時点で相当ややこしいですが(笑)
日本人好みの話としては、このブレンデッドウイスキーを作るために最重要なのは、「ブレンダー」という職人がいる、ということですかね!!
長い経験と知識から、各原酒の個性を把握、特徴を活かすためのブレンドを行う、という職人がいる、っつーんだからそのこだわりはハンパじゃない。
かつ、そのブレンドされたウイスキーがさらに味をなじませて安定させるために半年くらい貯蔵されるというのだから、いいウイスキーに対する歴史、こだわりというのは相当すごいものがある。
まさに職人技と言えます。
連続テレビ小説でマッサンが話題になったのも、日本人的にはうなずけるものがありますなぁ。
まとめ
・ウイスキーとブランデーは、命の水と呼ばれます
・モルトウイスキーは二回の蒸留工程を経て造られます
・グレン・ウイスキーは連続式蒸留機で造られます
・これらを混ぜておいしいブレンデッドウイスキーを造る、ブレンダーと呼ばれる職人がいます
今回は主にウイスキーのお話。
次回はブランデーメインの内容になりますよ~
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