スピリッツって何だろう?スピリッツの定義と4大スピリッツについて

2017年4月27日

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スピリッツって、つまり、何?

お酒周りの話の中で、たまーに聞く単語、「スピリッツ」。

これ、なんのことだか実はよく分からない!ってアナタ!

ご安心下さい、管理人もつい最近までそうでした(笑)

つまり、スピリッツってお酒の名前なの?カクテルの名前なの?

あるいは、スピリタスってとんでもなく強いお酒があるけど、それの別名というか、カタカナにしたときに表記がかわったとか、そーゆー話?・・・みたいな。

正解をいいますと、スピリッツとは蒸留酒全般のこと。

つまり蒸留酒=スピリッツ。日本での分類で言いますと、焼酎、ブランデー、ウィスキーを除いた蒸留酒を指すのがスピリッツ。

なんなら蒸留酒をウーロン茶等の水でないもので割ったものもスピリッツ。

つまり、世界的に言えば焼酎、ブランデー、ウィスキーもスピリッツ。

四大スピリッツと言われる、ウォッカ、ジン、ラム、テキーラもスピリッツ。

さらに、ウーロンハイやレモンサワーなんかの、蒸留酒を使ったサワー系も、スピリッツ。

・・・広い!広すぎる!
そら、端から聞いてたらスピリッツってフワフワしてなんのこっちゃ分からんわ!

今回は、四大スピリッツや、それ以外のものについても書いて行こうかと思います。

あ、ちなみにウォッカ、ジン、ラム、テキーラをスピリッツと呼ぶと思ってたかたはいませんか?

ふふふ、それは違うんですね~(なぜか得意気)

四大スピリッツ1:ジン

ジンとは穀物を原料として糖化、発酵、蒸留をした蒸留酒に、さらに草根木皮の香味成分を加えてさらに蒸留した無色透明のお酒を指します。

もともとイギリスやフランスと東インド地域(ヨーロッパ以東の地域)の覇権を争っていたオランダが、植民地で熱病に悩まされた際に特効薬として開発したのが最初。

開発者はオランダのライデン大学医学部のフランシスクス・シルビウス教授。

利尿・健胃・解熱作用のある「ジュニパー・ベリー(杜松の実)」をアルコールに漬けて蒸留し、薬として売られていました。

この薬がなぜ「ジン」と呼ばれるようになったかというと、

最初はフランス語で「ジュニパー・ベリー」を意味する「ジュニエーブル」と名付けられる

これがオランダ国内で流行した際、ジェネーブと混同されて「ジェネバ」になる

その後イギリスにわたった際、さらに短く「ジン」と呼ばれるようになった

・・・と、言われています。
いや、語源って大体聞くと無理がある、といういい例ですわな。
なんだ、ジェネーブと混同って(笑)

ジンの作り方は、とうもろこし、大麦麦芽、ライ麦等。これを糖化・発酵させて蒸留、グレーンスピリッツと呼ばれるものを作ります。

これに前述のジェニパー・ベリーなんかの草根木皮を加えます。

それ以外にもコリアンダーやキャラウェイの種子、アンゼリカやオリスなどの根、レモンやオレンジなどの果皮、シナモンの樹皮等々の香草・薬草を入れています。

何をどれだけ使うかによってジンの味が変わりますので、その辺のレシピは各メーカーの企業秘密。

このようにジンと一口に言っても、甘味を加えて飲みやすくしたものからフルーツを加えたものまで様々。

その中でもさらに、最古のジンであるオランダから始まりイギリスで発展したジンを、ほかのジンと区別するために「ドライ・ジン」と呼びます。

この「ドライ・ジン」以外にも、

ドライ・ジンに糖分を1~2%加えた「オールド・トム・ジン」
イギリス南部のプリマスで造られる「プリマス・ジン」
ドイツのシュタインハーゲンで造られたジェニパー・ベリーを使用した「シュタインヘーガー」
ジェニパー・ベリーの代わりに様々なフルーツで香りつけした「フレーバード・ジン」

などの種類があります。
ちなみに、様々種類があるジンですが、ただ「ジン」と呼んだ場合、基本的には「ドライ・ジン」のことを指します。

四大スピリッツ2:ウォッカ

ウォッカとは、穀物を原料として糖化・発酵・蒸留したものを、シラカバの炭でろ過したスピリッツのことを言います。日本でも、缶チューハイの原料として多く使われているお酒です。

ロシアではもともとハチミツのお酒が飲まれていたのですが、15世紀ごろに蒸留技術が伝わるとこのハチミツのお酒を蒸留したものが造られ始めます。

このハチミツ酒を蒸留したものは最初ロシア語で生命の水という意味の「ジーズナヤ・ヴァダー」と呼ばれていたんですが、

この「ヴァダー(Voda)」の部分を愛称形にした「ウォッカ(Vodka)」と呼ばれるようになった、と言われています。

・・・うん、これはまだ納得できるね(笑)

その後欧米から大麦・小麦・トウモロコシ・ジャガイモ等の穀物がもたらされ、原料に使われるようになります。

そこからさらに薬剤師のアンドレイ・アルバーノフが新しいろ過の方法を考案、ピョートル・スミノフがウォッカの製造にシラカバの炭を使用し、炭素ろ過という工程を確立しました。

これと連続式蒸留の技術により、ウォッカは無色・無味・無臭の非常にクリアな酒質を手に入れることになります。

1917年のロシア革命で亡命したウラジーミル・スミノフが、パリで小規模なウォッカの製造を始めたのが、ヨーロッパやアメリカへ広がっていく始まりとなります。

ウォッカの無色・無味・無臭の酒質から、ロシアだけで飲まれていたマイナーなお酒から、カクテルに欠かせないスピリッツの定番へと成長していった、というわけ。

ウォッカの製造過程は、穀物を糖化・発酵・蒸留(この時点でかなりアルコール濃度の高い留液を取るため、原料による味の違いはあまりない)を行った後、

水を加えてアルコール濃度を調整、そこからさらにシラカバの活性炭を用いてろ過します。

ろ過工程がウォッカの品質を決めるうえで最も重要で、ろ過している時間、活性炭の性質、ろ過する際の通過スピード、通す蒸留酒の冷却具合、等々が、品質の差として表れてきます。

クセのないクリアな酒質が特徴のため、熟成の必要が無いのもウォッカの特徴。

タンクに入っているのはごく短期間で、すぐに瓶詰めして発送されます。

無色・無味・無臭のクセのないタイプのウォッカをレギュラー・タイプと言います。

その他に様々なフレーバーをつけたフレーバード・ウォッカと言われるものがあり、このフレーバード・ウォッカで最も有名なのは「ズブロッカ」。

これはポーランド東部の薬草ズブロッカを浸漬して香りづけしたもので、ビンに茎が入っているものもあります。

フレーバード・ウォッカには他にも、ハチミツ、ショウガ、唐辛子、コショウ、変わり種では食用サソリが入っているものも。

フレーバード・ウォッカを作っているのはロシアやポーランドが多いんですが、

ハチミツはともかくただでさえ強いウォッカをさらに辛くしようって発想に、ロシアやポーランドの気合を感じますなぁ(笑)

四大スピリッツ3:ラム

ラムとは、サトウキビを原料とする蒸留酒のこと。日本でも小笠原諸島の母島、沖縄本島、南大東島なんかで製造されています。

ラムの歴史は15世紀のコロンブスの新大陸発見とともに、サトウキビが西インド諸島に伝わったところから始まります。

その後、英国の移民がサトウキビから砂糖を作る際にその残渣である糖蜜が大量にできたため、その糖蜜を発酵させてお酒を造ったのがラムの最初と言われています。

ラムの名称の語源には様々な説があり17世紀の植民地記録に、
「サトウキビから蒸留して造った強烈な酒を生まれて初めて飲んだ島民が、皆酔っ払って興奮(rumbullion:ラムブリオン)した」

とあり、この語頭部分が残ってラム(rum)となった、という説、

サトウキビのラテン語名サッカラム(saccharum)の語尾部分が残った等々、諸説あります。

まー、なんか、仲悪い学者が語頭だ語尾だとケンカしてる感が若干・・・(笑)

ラムの造り方は、一般的にサトウキビのしぼり汁を煮詰めて結晶、精製糖を採取した残りの糖蜜を原料として造られます。

糖蜜を水と硫酸で酸度を調整しつつ薄めたものを、加熱殺菌・ろ過し、そこで出た液に水を加えて糖度を調整して「糖液」を造ります。

重要なのはここからで、ここから先の製造方法の違いにより3種類のラムが出来上がります。

その3種類とは、「ライト・ラム」「ヘビー・ラム」「ミディアム・ラム」。

「ライト・ラム」は、「糖液」に純粋培養酵母を加えて発酵させ、連続式蒸留機により高濃度のスピリッツを製造します。

これに水を加えてタンク、もしくは内側を焦がしていないオーク樽で熟成後、活性炭等でろ過。

そうするとドライでキレのある香味が特徴のラムが出来上がります。代表的なライト・ラムには「キューバ・ラム」があります。

「ヘビー・ラム」は、「糖液」を2~3日放置して自然発酵、これにサトウキビの搾りかすなんかを加えて発酵させます。

蒸留は単式蒸留機で行い、内側を焦がしたオーク樽で3年以上熟成。これにより香り・味ともにとても濃厚なラムとなる、わけです。

代表的なヘビー・ラムは「ジャマイカ・ラム」。

「ミディアム・ラム」は、ヘビー・ラムとライト・ラムをブレンドして製造するもの・・・も、多くありますが、伝統的には自然発酵させたもろみを連続式蒸留器を用いて蒸留、樽熟成したものを言います。

ま、他の二つの真ん中くらいの味わいをもったラム、ということですな。

それ以外のラムの分類としては、色による分類もあります。
ホワイト(シルバー)・ラム⇒淡色・無色のラム
ダーク・ラム⇒色調が濃褐色
ゴールド・ラム⇒ホワイト(シルバー)・ラムとダーク・ラムの中間色

まぁ、どうも、割と分類はいい加減な感じはしますが・・・

大体真ん中のお酒の種類を言っとけば、大きく外すことはないようです(笑)

四大スピリッツ4:テキーラ

テキーラとはそもそも、竜舌蘭という多肉植物を原料とし、これを糖化・発酵・蒸留して造られるメキシコのスピリッツのこと。

もともとメキシコ人は竜舌蘭の樹液を発酵させた「プルケ」というお酒を飲んでいましたが、スペインに侵略された際に蒸留技術が持ち込まれ、現在のテキーラが出来上がったと言われています。

ちなみにテキーラの語源は、原料としてテキーラ造りに最適だった「マゲイ」に「アガベ・テキラーナ・ウエーバー・アズール」という名前が与えられ、

この「テキラーナ」がハリスコ州テキラーナ町周辺の原産だからであり、テキーラの名前の語源はこのテキーラ町から来ていると言われています。

その後、カクテルのマルガリータやメキシコオリンピックにより、テキーラは世界に広がっていきます。

テキーラの造り方は、原料の竜舌蘭の球茎を割って蒸し焼きにし、水をかけながら粉砕・圧縮、糖分を限界まで搾りまくります。

搾りとった糖液はタンクに移して発酵。
その後単式蒸留機で2回蒸留し、2回目の蒸留でアルコール分50~55%の部分を採取すれば、それがテキーラ、というわけです。

ちなみにテキーラは熟成具合で呼び名が変わります。

熟成なしが「ホワイト」。
そっから熟成が長くなるごとに「シルバー」「ゴールド」「レポサド」「アネホ」となっていきます。
同じ銘柄のテキーラでも、アネホには要注意ですぞ!(笑)

その他のスピリッツ

・アクアビット
ジャガイモを原料とし、北欧をメインに造られているお酒。

キャラウェイ・アニス・カルダモン・フェンネル等のスパイス・ハーブで香りづけされた蒸留酒です。

・コルン
様々な穀物を原料としたドイツの蒸留酒。
特徴としては、一切の香りづけをしていないところ。

・アラック
インドネシア・バリ島等の東南アジアから中近東にかけてのお酒。

語源はアラビア語で「汁」を意味する「アラク(araq)」カラと言われていますが、原料はナツメヤシの汁、ココヤシの樹液、糖蜜、キャッサバ、米等々、様々。

・白酒
こちらは中国で造られる蒸留酒の総称。
生産地、原料によって「芽台酒」「粉酒」「白乾」等々の種類のお酒に分けられる、んですね。

とはいえ、基本は原料穀物で、コーリャン、もち米、うるち米、小麦、トウモロコシが使用されています。

まとめ

・スピリッツとは、蒸留酒のこと!
・ウーロンハイとかも、スピリッツと呼びます(笑)
・四大スピリッツ、カクテルの原料にもなります
・その他にもスピリッツっていろいろあるんですぜ(笑)

このスピリッツの定義の広さ、みたいな、いい加減さが非常に好きですね、管理人は!きっちりしてるのは嫌い、いい加減なので(笑)

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